HIV/AIDS関連情報

2006年9月14日(木) オーストラリアのHIV増加もタイのせい?

 フィンランド政府が、自国のHIV感染増加をタイの売春産業のせいにするコメントを発表し物議を醸しているというニュースをお伝えしたばかりですが(2006年9月8日「フィンランドのHIV増加はタイのせい?」)、オーストラリアでも同じようなニュースが報道されています。

 9月3日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア北部で最近HIV感染が分かった9人のうち8人が異性愛者で、ほとんどが中年から60歳程度の男性だったそうです。オーストラリアは、国全体でみれば異性との性交渉によるHIV感染の割合は15%程度ですが、北部だけでみればおよそ60%となります。

 NEWS.COM.AUによれば、これら感染者の大半は、東南アジアで売春行為をおこなった結果によるもので、具体的な国名としては、タイを筆頭にしてベトナムとフィリピンを挙げています。

 オーストラリアの公的機関 Health and Community Services Sexual Health and Blood Borne Viruses Unitの北部局局長のWendy Armstrong氏は言います。

 「東南アジアへの旅行で、HIV感染が増えているだけでなく、抗生物質の効かない性感染症も問題となっている。今後、海外渡航者に対してはコンドームの持参を含めて感染予防の啓発につとめる」

 また、Armstrong氏は、海外でHIVに感染しその後国内のパートナーに感染させている問題も指摘しています。

 フィンランドに対しては公的に反論したタイですが、ほぼ同時期に同じような発表をしたオーストラリアに対しては公的なコメントは発信していないようです。オーストラリアの発表では、ベトナムとフィリピンも挙げタイ一国に限定していないからでしょうか。あるいはタイではなく渡航者に責任があるというような表現をしたからでしょうか。

 タイの見解はともかく、タイに渡航するすべての男性は(タイの若い男性を買いにいく女性も)、危険な性行為を慎むべきでしょう。

 ここで、9月13日のバンコク週報に掲載された三面記事をご紹介しておきましょう。

 9月10日、48歳のドイツ人観光客が、パタヤのホテルのベッドの上で仰向けになり、コンドームを装着したまま死体で発見されたそうです。警察の調べによると、この男性は26歳の売春婦を自分のホテルに連れて帰り「腹上死」した可能性が強いそうです。冷蔵庫の上には精力増強剤が置かれていたそうです。

 警察によればこの売春婦は逃走中のようです。適切な取調べがおこなわれればこの女性に罪はないことが実証されると思われますが、様々なリスクのある仕事をしているとはいえ、このようなことで殺人犯に疑われることのないよう慎重に捜査をすすめてもらいたいものです。

(谷口 恭)