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2006年9月12日(火) 米政府、赤十字に420万ドルの罰金を命令

 9月8日のロイター通信によりますと、アメリカ政府は、アメリカ赤十字に対して420万ドル(約4億9千万円)の罰金を命じました。これは、アメリカ赤十字が、献血の際に献血者に対し適切な質問を怠ったという理由です。

 FDAによりますと、現時点では赤十字から供給された血液が輸血を受けた人に危害を及ぼしたという報告はありません。しかしながら、適切なセーフガードを怠たれば汚染されている輸血用血液が流通するリスクがあるために、FDAは赤十字に対して重い罰を与えたというわけです。アメリカ赤十字は全米の輸血用血液のおよそ45%を供給しています。

 FDAによりますと、2003年から2005年に集められた輸血用血液のいくつかは、献血者がHIVや他の感染症に陰性であることを確信するための手続きを適切におこなっていれば、献血されなかった可能性があるとのことです。およそ12,000個の輸血用血液及び血液製剤が不十分な手続きで献血された血液によるものだそうです。

 具体的には、献血者に対してマラリアや狂牛病が流行した地域への旅行についての質問をしていないことが問題のひとつだそうです。

 これまでもFDAは赤十字に対して血液の安全性に関する問題で合計570万ドル(約6億6千万円)の罰金を命じています。今回の罰金は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が血液汚染の疑いで科した罰金で最高額になるそうです。

 アメリカ赤十字は、FDAのこの命令を検討し20日以内にコメントを表明するそうです。

 実際に血液汚染が発覚したわけではないばかりか、献血者に対する質問が不十分であったという理由だけで、このような巨額の罰金を命じるところにこの国の徹底した安全対策が実感できます。危険性を分かっていながら、汚染の可能性がある血液製剤を使い続け、HIVやC型肝炎ウイルスに感染した大勢の被害者をつくりだしたわが国とは、天と地ほどの差があると言えるでしょう。

(谷口 恭)