HIV/AIDS関連情報

2006年9月12日(火) 中国西部の女性にB型肝炎の教育

 9月10日のCHINA dailyによりますと、中国西部に位置する陝西省(Shaanxi)と甘粛省(Gansu)内の4つの地区で、女性を対象としたB型肝炎ウイルスの母子感染に関する教育プログラムが始まりました。このプログラムでは、およそ34万人の女性と600人の地域の医師に対してどのようにB型肝炎ウイルスの母子感染を防ぐかが教育されます。

 甘粛省内の鎮遠(Zhenyuan)と巫山(Wushan)で実施された調査によりますと、出産適齢期の女性でB型肝炎ウイルスがどのように感染するかを知っていたのは25%にすぎず、さらに驚くことに、母子感染の予防をどのようにするかを知っていた医師はわずか10.7%しかいなかったそうです。

 中国では、B型肝炎は、HIV、結核、住血吸虫症などと同様にもっとも深刻な感染症のひとつです。現在中国ではおよそ1億2千万人のB型肝炎ウイルスのキャリア(ウイルスを保有している人)がいて、2千万人以上がB型肝炎を発症しています。この治療に年間およそ1千億元(約125億米ドル、または約1兆5千億円)が使われています。

 現在日本では母子感染の予防が徹底されており、少なくともここ15年くらいは、母子感染はほとんどないはずです。B型肝炎は母子感染すると慢性化しますが、成人になってから感染すると慢性化することはあまりありません。無自覚のまま抗体ができて自然に治癒するか、急性肝炎を発症するかのどちらかになるのです。急性肝炎を発症すればそのうちの何パーセントかは劇症肝炎へと移行し、こうなればかなりの確率で死に至ります。そして、成人してからの感染ルートは、ほとんどが注射針の回し打ちか性感染です。

 実際、中国やタイで危険な性行為をおこない、B型肝炎を発症し激症化し、命をなくす日本人は珍しくありません。

(谷口 恭)