HIV/AIDS関連情報

2006年8月9日(水) ルーマニアで差別を受ける少年少女たち

 HIVが混入している血液製剤を使用されたことにより、血友病の患者さんがエイズを発症した、いわゆる「薬害エイズ事件」が日本にはありますが、ルーマニアにもこれに匹敵するようなとんでもない歴史があります。

 1986年から1991年までの6年もの間、「輸血をすることにより免疫力が高まる」、というまったく誤った根拠に基づいて、ルーマニアの大勢の子供たちが輸血によりHIVに感染したのです。

 The Independent (online edition)8月3日号の記事によりますと、現在15歳から19歳のルーマニアの少年少女のおよそ7200人が、この不必要な輸血によってHIVに感染しているそうです。

 この調査はHuman Right Watch(HRW)という機関が調査したもので、HRWは、「政府が適切な対策をとっていないことが社会的な差別を助長している」と報告しています。

 HIV陽性の少年少女たちの実に40%以上が教育を受ける機会を与えられていないばかりか、多くの医師がHIV陽性の患者さんの診察を拒否しているそうです。さらに、ほとんどの企業はHIV陽性という理由で採用を拒んでいるそうです。

 理容師、美容師、ベビーシッター、医療従事者、清掃業者、食品会社やその他多くの業種の従業員となるには、HIV陰性であることがルーマニアでは義務付けられています。このような馬鹿げた規則がある限り、社会からの差別がなくならないのは自明です。

 7200人の少年少女たちは今後どのように生きていけばいいのでしょうか。

 ちなみに、ルーマニアは来年EUに加入する予定です。