HIV/AIDS関連情報

2006年8月9日(水) 中国人の"無知"がインターネット調査で露呈

 8月3日付のロイターの記事(website版)が、中国人を対象としたインターネットによる調査でAIDSに関する"無知"が露呈した、と報道しています。

 この調査は、Zogby、MFCという名前の、それぞれ米国、中国の調査会社によって、インターネットを使って実施されたそうです。

 調査結果は、「中国ではHIVを含めた性感染症のリスクが理解できていない」、と結論づけられており、具体的には、「男性の37%が売春行為をおこなっており、パートナーと性感染症の話をしているのはわずか3分の1だけである」、と報告されています。

 この記事で気になる点が2つあります。

 ひとつは、パートナーと性感染症の話をしているのが、"わずか"3分の1、という点です。3分の1は確かに少ない数字ですが、私が日頃診察している性感染症の検査目的で受診される患者さんのなかで、パートナーと性感染症の話をしていると言う人は、3分の1もいません。3分の1という数字を、この記事では"わずか"と形容し、中国人は"無知"としていますが、日本で同様の調査をおこなえば、中国よりも"無知"になってしまわないかということを危惧します。

 もうひとつの気になる点は、この記事を書いた記者は、HIVの知識が欠落している中国人を"無知"と非難していますが、HIVの説明を"fatal"(致命的な)で、" incurable"(治療不能な)"、としていることです。もちろん、HIVは適切な治療を受けることによって"fatal"でも"incurable"でもありません。

 中国人とロイターのこの記者、"無知"なのはどちらでしょうか。