HIV/AIDS関連情報

2006年8月23日(水) まるで犬?! ナイジェリアのHIV陽性者

 8月18日付けのBBCニュース(Website版)に、「まるで犬のような扱い」というタイトルで、ナイジェリアのHIV陽性者の実情が報告されていますので、ここにご紹介します。

 この記事では、HIV陽性の二児の母親が取材されています。

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 私がHIVに感染しているのが分かったのは妊娠4ヶ月のときでした。ナイジェリアでは、感染者に対する差別がひどく、私は自殺を考えました。

 自分の家族に感染を告げたとき、母親は理解を示してくれましたが、夫は私を家から追い出そうとしました。

 しかし、自分の息子に、「もうすぐ生まれてくる子供はどうなるの?」、と言われ出産することを決意しました。

 ナイジェリアでは、HIVに感染していると仕事を得るのはほぼ絶望的で、家族から家を追い出されることも珍しくありません。

 出産のために病院に入院したとき、私のベッドにとりつけられたカードには「WXYZ」と書かれていました。後に、これがHIV陽性であることを示す病院内の暗号であることが分かりました。

 母子感染を防ぐためには帝王切開をおこなうべきです。しかし、この病院では医療従事者が私から感染するのを防ぐために帝王切開はしてもらえませんでした。看護師は私のそばに来ることすらもせず、私は痛みを感じてもどうすることもできませんでした。ひとりの医師がやってきてようやく出産、そして痛みを取り除いてもらうことができました。幸運なことに、私のふたりめのその子供はHIV陰性でした。

 最近、私の友人がエイズで亡くなりました。

 この友人の夫はHIV陽性で、以前から病院で薬を処方されていましたが、自分の妻である私の友人にはそれを告げてなかったのです。やがて彼女はエイズを発症し、4歳になる娘を残して亡くなりました。

 私たちの社会では、女性がコンドームを求めることはむつかしいのです。もしも女性がコンドームの話をすれば、その女性は売春婦と思われてしまうのです。そして、自分の夫にコンドームを使うように言えば、きっとこう言われるでしょう。

 「オレはお前に命令されるために結婚したのか?」

 この国ではエイズを発症してしまったという「恥」から抜け出すためには「死」しかありません。

 私はNGOのおかげで薬を入手することができましたが、私のように治療を受けることができる幸せな人は、この国ではまだほんのわずかしかいません。

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 「HIV陽性者は帝王切開をしてもらえずに看護師からも無視される」

 「女性がコンドームの話をすれば売春婦とみなされる」

 にわかには信じられないような話です。いったいいつになれば、こういった馬鹿げたスティグマがなくなるのでしょうか・・・。

(谷口 恭)