HIV/AIDS関連情報

2006年8月23日(水) 300人に1人のエイズを発症しないHIV陽性者

 先日トロントで開催された第16回国際エイズ会議で、エイズを発症しないHIV陽性者に関する報告がありましたのでご紹介します。

 8月16日のCNN.comによりますと、この報告はハーバード大学のウォーカー教授によっておこなわれました。

 ウォーカー教授の研究では、HIVに感染してもエイズを発症しない人は、およそ300人に1人の割合で存在し、この幸運な陽性者たちを「エリート」と呼んでいるそうです。
 
 同教授は、すでに200人の「エリート」の調査をおこなっており、北アメリカや他国の研究者と協力して、今後1000人の調査をおこなうことを目標としています。同教授の試算では、全米にはおよそ2000人のこの「エリート」が存在するそうです。

 この研究が進んで遺伝子レベルでの解析がおこなわれれば、エイズを発症しないメカニズムが解明され、将来的にはワクチンや治療薬に応用できるのではないかと期待されています。

 日本にはこのような「エリート」の報告はまだないようですが、今後の研究に注目したいところです。ただ、「エリート」は、自分自身はエイズを発症しないとしても、他人に感染させることには変わりありません。

(谷口 恭)