HIV/AIDS関連情報

2006年8月19日(土) エイズ対策での医療従事者不足、世界で400万人超

 8月16日のnikkei netによりますと、エイズ対策で不足している医療・保健従事者は世界で400万人を超える――。世界保健機関(WHO)などは15日、カナダのトロントで開催中の国際エイズ会議でこんな試算結果を報告しました。

 サハラ砂漠以南のアフリカや南アジアなど世界57カ国が深刻な人材不足に直面していると、WHOは指摘しています。これらの国々の人口は世界の1割強にすぎませんが、エイズ患者・HIV陽性者数では全世界の約3分の2を占めます。ところが医療・保健従事者は世界全体の3%しかいないと報告されています。

 足りないのはエイズ治療にあたる医師や看護師だけでなく、感染予防の啓発や患者のカウンセリングにあたる保健関係者らも含めてです。WHOは人材確保には今後5年間で少なくとも72億ドル(約8350億円)が必要だと試算しており、国際機関や財団などに寄付を求めていく方針だそうです。

 同会議に参加しているマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏は世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)に対し5億ドル(約580億円)の寄附を自身のビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して行っており、先日著名投資家のウォーレン・バフェット氏から440億ドル(約5兆1千億円)もの寄附を受け取ったこともあり、WHOは同財団に対して、何らかの打診をおこなうのではないかと見る動きもあります。

 しかし、エイズ対策に必要な人材を確保しようと思えば、8350億円ものお金が必要になるとWHOは試算しています。本当に気の滅入る話です。

 WHOが報告するようにエイズに従事する人材が不足しているという現状がある一方で、金銭的にもスタッフの確保にも苦労しながらも、日々患者さんのために貢献されている方も少なくありません。例えば、私は、タイ国でHIV/AIDSの問題に草の根レベルで取り組んでいる人たちをみると、深い感銘を受けるのと同時に、自分に何ができるのか、ということをいつも考えます。寄附をよびかけるのも効果はありますが、実際に現地で活躍している人たちのことを知ってもらうことによって、世論の関心が高まり、さらに人材不足の解消にもつながることを私は期待したいと思います。

(浅居 雅彦)