HIV/AIDS関連情報

2006年8月16日(水) 大勢のネパール女性がインドでHIV感染の危機

 8月15日付けのロイター通信の報道によりますと、国連大使の幹部スタッフが、現在大量にインドに流出(これを"trafficking"と呼びます)しているネパールの女性と子供が性産業に従事させられており、早急に二国間で対策を講じる必要がある、とのコメントをしています。

 現在ネパールでは、売春斡旋業者(pimp)が、貧しくて文字の読み書きのできない女性に対し、インドで仕事を与えてあげると嘘の約束を持ちかけ、その結果、強制売春をさせられている者が数千人もいると言われています。

 およそ1,750キロに渡り国境がインドと接しているネパールでは、インドに渡るのにパスポートも労働許可も不要です。これは、両国は、経済、外交、文化、宗教などで強い結びつきのあることが理由ですが、この結果、大量のtraffickingが起こり、不当な売春行為をさせられている女性や子供が後を絶たないという問題が起こっているというわけです。

 専門家によると、1年間に最高7000人ものネパール女性がインドに渡っており、現在およそ20万人もの女性がインドで売春行為をさせられているそうです。

 現在、インドは南アフリカ共和国を抜いて、HIV陽性者の人数が世界一位となっています。20万人ものネパールの女性たちが、HIV陽性者世界一位の国で、強制売春をさせられているわけですから、早急に対策を講じなければ大惨事になるのは自明です。

 ちなみに90年代には、大勢のミャンマー女性がタイに不法入国をして、これと同様の事態に陥りました。タイでHIVに感染したミャンマー人は行き場をなくし、母国に強制送還された後、大量処刑がおこなわれたという報道もあります。

(谷口 恭)