HIV/AIDS関連情報

2006年8月14日(月) バンコクで英製薬会社に対する抗議デモ

 タイの英字新聞Nationの8月8日の報道によりますと、8月7日、UKの製薬会社グラクソ・スミスクライン(以下、グラクソ)バンコク支店の前で、およそ500人の抗議デモがおこなわれたそうです。

 グラクソは、Combidという名前の抗HIV薬を販売しており、ヨーロッパとアメリカではすでに特許をとっています。ところが、タイでは政府管轄の機構(GPO)が、Combidの、いわゆるジェネリック薬品をZilarvirという名前で販売しており、グラクソは、タイでも特許を認めるよう主張しているというわけです。現在、タイの知的所有権委員会は、グラクソの主張の妥当性を審議しています。1月分の価格は、Combidが8,300バーツ(約24,900円)、Zilarvirが1,500バーツ(約4,500円)です。

 なぜ、この薬剤の特許で問題が起こるかというと、Combidは、既存の2種類の薬剤(lamivudineとzidovudine)を混ぜ合わせただけの薬だからです。

 Zilarvirを製造しているGPOの幹部がコメントしています。

 「我々は利益についてではなく、感染者の健康を心配している。いったい、どれだけの人が特許の認められた高価な薬剤を入手できるというのか・・・」

 たしかに、グラクソに特許が認められれば、必要な薬剤を入手できないタイ人が続出するでしょう。

 私が、パバナプ寺で医療ボランティアをしていた時もZilarvirをよく使用していました。これを使用することにより、必要な抗HIV薬はあと1種類だけとなるために、大変使いやすい便利な薬剤です。これが使えないとなると、患者さんたちは・・・。想像するのが恐ろしくなります。

 ちなみに、グラクソのwebsiteのトップページには、「Positive Action」というタイトルのHIV/AIDSキャンペーンの案内があり、そのなかで、「(当社は)先進国だけでなく発展途上国のHIV/AIDS患者のために貢献する」、と書かれています。

(谷口 恭)