HIV/AIDS関連情報

2006年8月11日(金) 性行動がおとなしくなってきた全米の高校生

 8月13日からカナダのトロントで開かれる第16回国際エイズ学会で発表される予定の報告が、8月10日のロイター通信でいち早く報道されましたのでここに報告します。

 この調査はCDC(米国厚生省疾病管理・予防センター)の主導のもと、全米50州及びコロンビア区の公立・私立の高校生(15歳から18歳)を対象に、匿名・自己回答方式のアンケート形式によっておこなわれました。

 性的交渉をもったことがあると回答した高校生が、1991年には54.1%だったのに対し、2005年には46.8%まで減少しています。4人以上の経験があると答えたのは、1991年に18.7%だったのが、2005年には14.3%まで減少しています。一番最近の性行為でコンドームを用いたと答えたのが、1991年には46.2%だったのに対し、2005年には62.8%にまで上昇しています。

 違法薬物の静脈注射の経験は2.1%で、1995年の調査時と変わらなかったそうです。

 この報告では、「薬物の静脈注射経験者は依然少ない(4%未満)ものの、HIVのリスクのある(性)行動をしている高校生は依然として多い」、と述べられています。

 2.1%という静脈注射の経験者数を重要視していないようなコメントですが、この数字は本当に少ないと捉えてよいのでしょうか。静脈注射が2.1%なら、吸入や内服で違法薬物を使用している高校生がどれくらいになるかを考えるとぞっとします。

 また、きちんと統計をとったわけではありませんが、私が医師として若い患者さんと接していて思うのは、日本の高校生のコンドーム使用率がはたして62.8%まで届くだろうか、ということです。

(谷口 恭)