HIV/AIDS関連情報

2006年8月10日(木) スワジランドでHIVが原因の自殺急増

 8月8日付けのIRIN newsの報告によりますと、アフリカのスワジランドで、HIV感染を苦にした自殺が急増しており、そのため24時間フリーダイアルのホットラインの活用が呼びかけられているようです。

 スワジランドは人口が120万人弱のアフリカの小国です。この小国にもエイズが猛威をふるうようになり、実に国民の40%以上がHIV陽性です。

 スワジランドでは、問題が起これば家族内で解決する伝統があったが、HIVの問題は家族では対処できなくなっている、とこの記事では述べられています。

 今週発行された現地の新聞の一面には、わずか9歳の少年の自殺未遂が報道されたようです。この少年は、HIVに感染していることが原因で実のおばさんから暴行を受け自殺を試みました。母親はすでにAIDSで死亡しており、父親もその母親を追うように自殺したそうです。少年がロープで首をつっているところをこの少年のいとこが発見しなんとか死は免れたようです。

 2004年現在のWHO(世界保健機構)のデータによりますと、人口あたりの自殺率の国際比較では、スワジランドは上位99位に入っていません。(100位以降のデータは公表されておらず、要するにスワジランドではほとんど自殺がないということです。)

 このWHOのデータによれば、日本は自殺率が世界第10位です。ただ、1位から9位は旧ソ連や東欧の小国ばかりで、いわゆる先進国のなかでは日本が第1位となります。スワジランドのようなもともと自殺のない国ですらHIV感染が原因で自殺が急増していることを考えると、今後日本でもHIV感染による自殺が大きな社会問題になるのではないかと懸念されます。

(谷口 恭)