HIV/AIDS関連情報

2006年12月5日(火) 蘭州の売春施設でコンドーム使用が義務化

 蘭州(Lanzhou)と言えば、太古は金城と呼ばれた地域で甘粛省の省都です。この古い都にも多くの売春施設があり、HIV蔓延が問題視されています。最近、この地域の売春地域のすべての施設でコンドーム着用が義務化されることとなりました。

 この地域の保健関係者によりますと、甘粛省の登録されているHIV陽性者はおよそ300人ですが、実際には2000人にのぼるだろうとみられています。このうち40%は薬物中毒者で、30%が性感染によるものと試算されています。

 コンドーム義務化のこのプログラムは、中国保健省とWHOの共同計画によるものです。同様の試みはすでに、湖北省の武漢(Wuhan)、江蘇省の晋江(Jingjiang)、海南省のDanzhou、湖南省のLixianなどで試験的におこなわれています。

 甘粛省では、蘭州以外にも嘉峪関(Jiayuguan、万里の長城の西端の砦として有名)、敦煌(Dunhuang、シルクロードの要衝として有名)でも、コンドーム義務化をおこなう計画があるようです。

この計画では、すべての売春(風俗)施設が当局と契約をおこない、教育を受け、無料コンドームの配布を受けるという手続きが必要となります。

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 中国では売春は違法行為ですから、ほんの少し前までは、地域によってはコンドームを保持しているだけで売春行為とみなされ逮捕されるという事件が相次いでいました。その中国でこれだけ急激にコンドームを普及させるプロジェクトを行政がおこなうということに大変驚かされます。しかし、それを別の観点からみるならば、現在の中国のHIV事情がそれだけ逼迫したものであるということなのでしょう。

(谷口 恭)