HIV/AIDS関連情報

2006年11月22日(水) ハイチ、空腹はエイズの最大の敵

 発展途上国に広がるHIV/AIDS。貧困や啓発教育の欠如、社会的因習など様々な要因がその原因となっていますが、本日お伝えするのは「飢餓」です。「食べる」という人間の生存に最も基本的な要素の欠如は、HIV陽性者にも大きなダメージを与えるという報告です。

 11月11日付のAP通信では貧困とエイズによってやせ細り、動けなくなったハイチのMarie Lourdesさんの話をとりあげています。

 彼女には食べるものがなく、抗HIV薬を空っぽの胃に入れると胃がいたくなり、めまいと吐き気におそわれるのです。「食べ物がなくて一日に一度しか食事できないの」と彼女はいいます。

 彼女は現在51歳で、HIVに感染したのが発覚してから学校教師の職を辞めざるを得なくなり、お金を稼ぐ手段を失いました。飢餓と栄養失調はエイズ発症を防ぐ最大の敵で、発展途上国の何百万ものHIV陽性者が抗HIV薬より食べ物がまず必要であるといわれています。

 国連世界食糧計画(WFP)はハイチを始めとする50以上のHIV感染率の高い国々に食糧援助を行っています。適度に栄養がいきわたらないと、抗HIV薬を体内で消化・吸収することができません。世界中では、薬380万人ものエイズ患者が食糧援助を必要としていて、2008年までには640万人に数が増える妥当とWFPは予測しています。

(大和さちよ・浅居雅彦)