HIV/AIDS関連情報

2006年11月17日(金) 中国、絶望的なこころに愛とプライドを

 11月3日のCHINA DAILYからのニュースで、中国、雲南省のピア・エデュケーションの実践例をお伝えします。

 HIV陽性者で元麻薬中毒者のシャオウエが恋に落ち、結婚する予定です。彼女はデイトップ麻薬中毒防止・回復センター(Daytop Prevention and Recovery Centre for Drug Dependence)で働く32歳のカウンセラーです。彼女は幸福への貴重なチャンスを逃さないといいました。

 彼女の将来の夫も元麻薬中毒者で、リハビリ治療のためにデイトップに来たのがきっかけで、彼もまた、現在はデイトップで働いています。

 彼は彼女の病を受け入れ、コンドームを使えば感染しないということを知っています。カップルは人口受精によって子供ももうけることができるし、母子感染を防ぐための特効薬も開発されています。

 シャオウエは若い頃に両親を亡くし、ひいおばあさんと一緒に住んでいました。高校での成績はよかったものの、彼女はカレッジの入学試験に失敗し、失意のどん底に落ちて自殺を図りました。そんなときに、友達が心のいたみを取り除くのだといって「すばらしいパウダー」をくれました。彼女はしばらくしてそれがヘロインであることを知りました。

 「そして薬を買うお金が欲しくて、セックス・ワーカーになったの」とシャオウエは言います。

 麻薬は中国でも違法で、警察に逮捕された中毒者は強制的にリハビリセンターに行かなければいけません。シャオウエは警察に4回逮捕されましたが、麻薬を断ち切ることができませんでした。

 それから彼女は昆明(Kunming)のデイトップセンターに行きました。そこは違うタイプのリハビリセンターで、警察が運営しているものより厳しくなく、宿泊代や治療費は払わなくてはなりませんが、患者はセンターに住むように強制されていません。医師は親切で、患者はグループ別にコミュニケーションをとるようになっています。医療的な授業や心理的なリラクゼーションの技術が教えられ、スポーツや娯楽施設もあります。

 ひとつだけ遵守すべきポリシーがあって、もし患者がデイトップの恩恵に預かりたければ、他の患者が中毒を止められるように助けなくてはなりません。彼らが助ければ助けるほどデイトップの恩恵を受けられるようになり、受講料が安くなり、その上賃金を払ってもらえるチューターとなることができます。

 「デイトップで私は麻薬を断ち切り、他の多くの患者を助けたの。今はこの名誉ある仕事から給料ももらえるわ」とシャオウエはいいました。

 デイトップのプロジェクト・マネージャーのウォン・シャオフェンは、センターのボランティア・リハビリテーションモデルによって何百人もの麻薬中毒者が立ち直ったといいました。デイトップは受講料として患者から費用を受け取りますが、政府からも資金を受けていて、個人的な寄附ももらっています。センターはChina-UK AIDSという、イギリスの資金によるプロジェクトからの資金もあります。デイトップチューターや研修生によって雲南省の麻薬中毒者らに安全な薬の使用の知識や清潔にする習慣が伝えられました。

 「China-UK AIDSとデイトップの協力はエイズ撲滅のために草の根集団が関わっている典型的な事例です」とプロジェクト・マネージャーのシャン・ヤンは述べています。

(大和さちよ・浅居雅彦)