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2006年11月14日(火) インド、香りつきコンドームのCMが物議に

 インド政府筋は香りつきのコンドームは(政府筋にとって)まずい味がするので、テレビなどでの宣伝をやめるよう求めています。11月3日付のNEWS.com.auがニューデリーからレポートしています。

 コマーシャルではストロベリー、チョコレート、バナナ味のコンドームを、「あなたの今晩のお好みの味は?」というキャッチフレーズで宣伝しています。

 しかしながら、インドの宣伝基準協議会と検閲委員会は、政府にこのコマーシャルをデイタイム、特にクリケットの国際試合中に放送することを禁止するよう申し出ました。

 これを日本で例えると、サッカーの日本代表の試合にコンドームメーカーがスポンサーとなり、ハーフタイム中に香りつきコンドームのCMを行うことが妥当かどうか議論となっているといったところでしょうか。

 「この宣伝はいやらしい。おそらく十代の若者を対象にしているのでしょうけれど、子供向けではないわね」

 Sharmila Tagoreという検閲委員会の委員長は言っています。Tagore氏はエイズ撲滅の活動家でもあって、コマーシャルを完全に廃止するのではないけれど、夜11時以降に放送して、子供たちがテレビを見る昼間には放送をやめるよう求めています。コマーシャルに「証明書」マークをつけて、大人だけが見るものであることを示すよう勧めています。

 コンドーム会社の役員は、香りつきのコンドームは口でのセックスを促進するものではなくて、ラテックス臭がきらいなカップルに勧めているのだといっています。

 インドでは、セックスや避妊に対する伝統的な態度や習慣があり、コンドーム使用に対する意識がないのが、特に地方では顕著です。このことが子供たちや女性を不利な立場に追い込んだだけではなく、エイズを国中に拡散させ、世界でも高いHIV陽性率を持つ国となった原因であると主張しています。

 たしかに日本でも、コンドームのCMをデイタイムに流しているのを観たことはありません。業界内で何らかの規制があるのかもしれません。

 デイタイムのコンドームCMが十代への性感染症予防の啓発につながるのかどうかわかりませんが、インドでも日本でもより活発な議論が期待されます。

 国連によると、570万ものインド人がエイズウイルスに感染しています。活動家は、実際の数はこれより高いだろうと予測しています。

(大和さちよ・浅居雅彦)