HIV/AIDS関連情報

2006年10月7日(土) 中国のNGOのHIV活動

 中国保健省と国連の統計によると、中国の65万人がHIV/エイズで苦しんでおり、2005年に報告されたHIV感染者の半数以上が安全ではない性行為によって感染したことがわかっています。

 こうした現況を踏まえ、中国政府はNGOのエイズ予防活動を前向きに支援する姿勢を見せています。副保健大臣のChen Xiaohong氏は、CHINA dailyのインタビューで、今後NGOとの協働によるエイズの統制と予防のメカニズムを強化していくことを誓いました。

 中国の中央政府は過去10年間にわたり、HIVの予防及び必要に応じた治療をおこなってきました。2003年には薬を買えない人に対する抗HIV薬の支給、エイズ孤児への教育、無料のHIV検査などを開始しました。さらに政府と疾病管理局(Centres for disease control and prevention)が一丸となって公共教育やHIV検査、コンドームの配布などを行ってきました。

 しかしながら、政府の活動範囲にも限りがあり、特に売春や麻薬売買は違法であることから、政府やセンターの役人が売春婦や麻薬中毒者などHIV感染率の高いとされるグループとコミュニケーションを図ることは困難です。その点、NGOであればそういった活動が可能です。

 「私たちは彼ら(HIV感染者)と同じ気持ちだから、簡単に受け入れてもらえる」と、北京をベースとしているHIV陽性者のネットワーク「ARK of Love」の代表Meng Lin氏は言います。

 現在「ARK of Love」は中国政府に認可されておらず、法的には任意団体にすぎませんが、こういった草の根レベルの活動をおこなっている組織に対する政府の態度は協力的になってきています。

 「ARK of Love」のような草の根組織がいくつも存在する一方で、「中国女性連盟」(All-China Women's Federation)や「中国家族計画同盟」(China Family Planning Association)など約50の国家NGOがエイズ撲滅のために戦っています。このように国家NGOだけでなく「ARK of Love」のようなNGO、さらにはボランティアたちが患者と社会の橋渡し役となることが期待されています。

 2002年以来、中央政府は2千万ユアン(約250万米ドル、約2億9,250万円)をNGOが行う231のプロジェクトやプログラムに充ててきました。

 また、「エイズ、結核、マラリアグローバル基金」(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)も中国のNGOの活動を支援しています。2004年以来、同基金の第3ラウンドから375万ユアン(約45万米ドル、約5,265万円)が合計72のNGOに行きわたり、移民や若者、売春婦などに対する公共教育に使われました。同基金の第5ラウンドでは2、900万ドル(約33億9,300万円)が7月より支給されていますが、このうち43%がNGOの活動を支えるのに使われる予定です。

 NGOと政府の協働によるエイズ撲滅活動が今後も更に強まりそうです。

(大和 さちよ)