HIV/AIDS関連情報

2006年10月3日(火) 買春男性の過半数に特定のパートナー

 少なくとも先進国の間では買春をする男性が減ってきているのではないか、最近はそのような意見を聞くことが増えてきましたが、どうやらそうではないようです。

 10月2日のロイター通信に、医学誌「Sexually Transmitted Infections」で発表された、グラスゴーのSandyforl Intiativeという研究機関のTamsin Groom医師がおこなった研究が報告されていますので、ご紹介したいと思います。

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 買春をするスコットランドの男性のおよそ半数に、妻や恋人など特定のパートナーがいることが分かりました。また、調査の対象となった全男性の27%は定期的に買春をおこなっていることも分かりました。

 買春をおこなう場所は国内派と海外派に分かれ、どちらでもおこなっている男性はあまりいないそうです。多くの男性はコンドームを使用すると回答していますが、海外派の方が使用しないことが多いそうです。

 グラスゴーの性感染症クリニックを2002年10月から2004年2月までに受診した男性2,500人のうち、HIVに感染していた者はいませんでしたが、淋病、クラミジア、梅毒といった性感染症には5人に1人が感染していたそうです。

 また、コンドームを用いずに危険な買春をおこなっていた男性の56%に特定のパートナーがいるという結果が出ています。

 Groom医師は言います。

 「調査結果から察すると、こういった男性は、海外の病原体が国内で蔓延する"架け橋"となっていると考えられる」

 調査を受けた男性のなかには正直に回答していない者も少なくないと思われ、そのため実際は、買春行為で性感染症に罹患しそれを特定のパートナーに感染させているケースは調査結果よりも多いのではないか、そのようにみる専門家は少なくありません。

 今回の調査で、買春をおこなっている男性が最も多いヨーロッパの国はスペインで39%にものぼることが分かりました。アジア諸国ではヨーロッパよりも買春が普及しており、タイでは73%の男性が買春をしている、とGroom医師は述べています。

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 ロイター通信のこの記事には日本のデータが掲載されていませんが、(何度もこのウェブサイトで述べているように)、海外で性感染症に罹患し、それを奥さんや恋人に感染させている日本人男性は珍しくないということを私は日々の臨床で感じています。

(谷口 恭)