HIV/AIDS関連情報

2006年10月25日(水) 英国、性感染症クリニックが次々と閉院に

 英国ヨークシャー地方東部ではHIV感染が急増しています。この影響で、性感染症を診療しているクリニックが次々と閉院する計画を明らかにしています。10月21日のBBC NEWSがこれを報道していますのでご紹介いたします。

 ヨークシャーのイーストライディング地方では、成人のHIV陽性率が1997年の10人から2005年には31人と急増しています。これを受けて、この地域のふたつのプライマリケア協会が9月28日の合同会議で審議をおこない、合計6つのクリニックを来年1月から閉院することを発表しました。

 この発表に対し、この地域の行政は、「これでは多くの患者さんが(遠くの)総合病院を受診しなければならなくなってしまう」、とのコメントを表明しました。

 また、ある国会議員は次のように述べています。

 「性感染症の罹患率が年々増加しているこの地域で一度に6つものクリニックが閉院することはたいへんな問題である。政府が性感染症の情報や検査のことをしっかりと国民に、特に若い世代に訴えてこなかった結果、こんなにもHIVを含めた性感染症が増加することになってしまった」

 10月21日の時点で、今回の決定をおこなったふたつのプライマリケア協会のスタッフでコメントを表明した者はいないそうです。

 HIVを含めた性感染症が急増しているのであれば、性感染症を診療するクリニックを増やす計画を立てるのが、プライマリケア医の団体であるプライマリケア協会がおこなわなければならないことのはずです。イギリスほどの先進国でこのような決議がなされたことはにわかには信じ難いことであり、ヨークシャー地方の住民だけでなく、世界中の多くの医療関係者や患者さんが幻滅することとなるでしょう。

(谷口 恭)