HIV/AIDS関連情報

2006年10月21日(土) 南アのエイズ専門医、HIV検査の義務化を提唱

 10月19日に南アフリカのあるエイズ専門医が、HIV検査の義務化を提唱し、同日のロイター通信が報道しています。

 この医師(Dr. Francosis Venter、以下、Venter医師)は、南アフリカHIV臨床医協会(South African Clinician Society)の会長で、「知らないことが人権であるとは思えない」とコメントし、HIV検査の義務化を強く訴えています。

 もちろん、HIV検査の義務化には反対意見もあります。人権の侵害であり、HIV陽性者がそれを社会に知られればスティグマの対象となるから、というのが主な理由です。

 Venter医師は、現在成人の5人に1人がHIV陽性である南アフリカで、ほとんどの人は自分自身が陽性か陰性かを知らずに、その無知が毎年50万人もの新規感染者を生み出している、と指摘しています。

 Venter医師は、毎年のHIV検査を義務づけ、検査を受けていないと医療保険を利用できないようにすることや、すべての雇用者は従業員を雇う前にHIV検査を受けているかどうか(結果ではない)を確認することを提唱し、次のように述べています。

 「各々がHIV陽性か陰性かということに我々は関知しない。各自がHIV陽性か陰性かを知っていて、正しく行動しているかどうかということが重要なのだ。運転免許がなければ車に乗れないのと同じように、銀行口座を開くときや行政上の手続きをするときにHIV検査を受けていることを証明しなければならないシステムが必要である。現在この国には自身の状態を知らない人がたくさんいるが、これは倫理的に許されるべきでない。検査を受けていなければ、エイズを発症して初めてHIV陽性であることを知ることになる。健康なうちに状態を知っておいて適切な対策をするのが望ましい」

 現在、南アフリカ政府は国民にHIV検査を受けるように促しています。しかしこれは自発的なもので強制力がなく、Venter医師は、「これでは不充分であり、妊娠検査のように国民の誰もが簡単に受けられるような環境を整えなければならない」、と述べています。

 またVenter医師は、HIV検査時には、カウンセリングを受けられる状態にし、正しい性行為などを学べるような環境を整備すべきという点も指摘しています。

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 「知る権利」に対して「知らない権利」を認めるべきかどうか・・・。非常にむつかしい問題で、医師側だけの理屈だけで決められるようなものではないでしょう。今後の南アフリカの対策に注目していきたいと思います。

(谷口 恭)