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2006年10月21日(土) ミャンマーの麻薬事情

 世界第1位がアフガニスタン、第2位がミャンマーと言えば、何のランキングかお分かりになるでしょうか。答えは、麻薬(ヘロイン)の生産量です。

 10月18日のBangkok Postが、現在ミャンマーの麻薬事情を報道していますのでご紹介したいと思います。

 UNODC(国連薬物犯罪オフィス)は、ミャンマーの阿片畑の面積が減少してきていることを発表しました。今年は21,500ヘクタールで、2005年は30,900ヘクタール、2003年は44,200ヘクタールですから、着実に減少してきていることになります。しかしこの数字だけを見て手放しに喜ぶわけにはいきません。なぜなら、畑の面積は減っているものの、麻薬生産量は逆に増えていることが判ったからです。

 しかし、それよりも困った問題は、麻薬がビルマ経済の重要な産業になってしまっているということです。以前は、麻薬はマフィアと独裁軍事政権のみが利益を享受する産業でしたが、最近は阿片を栽培する農民やそれを流通させる商人にとっても重要な作物になっていると言われています。

 ビルマのNGO Burmanetは、国連の試算を引き合いに出し、ビルマの麻薬取引量は、昨年から24%も増加し、総額72百万ドル(約86億円)にもなると発表しています。また、来年のアヘンの収穫量は315トンになり、ここから麻薬(ヘロイン)3.15トンが精製されるとみています。これだけ高い生産量が得られれば、栽培畑の面積の減少が相殺されてしまいます。

 ミャンマーの麻薬はいろんな問題を孕んでいます。暴力、中毒、HIV感染、国境問題、大量の難民・・・。

 ゴールデントライアングルの一画であったタイとラオスでは現在麻薬はほとんど栽培されていません。もちろん、そこにいたるには様々な困難がありましたが、特にタイでは政府が非常に効果的な対策を取ったこともあり、阿片を栽培していた農家の多くが、他の農作物の栽培に切り替えることに成功しました。

 現在のミャンマーの農家は、阿片のおかげで栄えているそうです。ミャンマーがクリーンな国になるのにはかなりの年月が必要になるかもしれません。

(谷口 恭)