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2006年10月21日(土) 中国、ホテルはコンドームを用意すべきか

 中国で今年3月にエイズ予防管理局が発令した規則に従って、上海人口家族計画委員会(Shanghai Municipal Commission of Population and Family Planning)は、上海内の各地域の行政に対し、ホテルや娯楽施設にコンドームを配布するよう求めていました。ところが、浦東(ほとう、Pudong)で配布されたコンドームの40%が実際には使われていなかったことが新聞の調査で明らかとなりました。詳細が10月20日のCHINA DAILYに掲載されていますのでご紹介いたします。

 ホテルや娯楽施設によっては、特にハイクラスのホテルでは、コンドームはプライベートなものであるとの見方をしています。ホテルのスタッフのコメントを集めてみましょう。

 「我々は生活に必要なものだけを供給している。コンドームはプライバシーにかかわるものだ」

 「我々のホテルではコンドームを配布したり販売したりするつもりはない。我々は我々の会社で決められた規則に従って部屋を提供している。我々は上海人口家族計画委員会の通達に従うつもりはない」

 「客が必要なら自身で持ってくるであろうし、コンドームは街じゅうにあるスーパーマーケットや薬局で買えるものだ。コンドームの供給はお金の無駄だ」

 「我々の顧客のほとんどは出張で来ており、ひとりで宿泊している。彼らはコンドームを必要としていない。カップルで来る客にしてもコンドームは自分たちで用意している。彼らはホテルで用意された無料のコンドームを使うようなことはない。だから我々は部屋にコンドームを用意するつもりはない。」

 こういったホテル側の反応に対して、浦東の役人のひとりは言います。

 「ホテルにコンドームを置くことには問題がある。3つ星以上の200のホテルのうち、行政から支給されるコンドームの自動販売機を置くことに同意しているのは10から20しかない。半分以上のホテルは無料コンドームの供給を拒否している。最も大きな障壁は人々の思考様式である」

 こういったホテル側が難色を示していることに対し、上海人口家族計画委員会のある幹部は次のように述べています。

「ハイクラスのホテルにコンドームを置くのはむつかしいことは聞いている。しかしエイズを予防するために、我々はさらなる努力を続けて明るい展望(bright prospects)が得られることを確信している」

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 すべてのホテルにコンドームを置くべきか否か・・・。むつかしい問題かもしれません。私自身も出張などで国内外のホテルに泊まるとき、もし部屋のなかにコンドームの自動販売機があればあまりいい感じがしないかもしれません。

 そもそも、なぜ一流ホテルにコンドームを置かなければならないのでしょうか。上で紹介したホテルのコメントのように、必要であれば自分たちで用意するものだと思われるのですが・・・。

 中国では、売春婦を一流ホテルに連れ込む(呼び込む)ような慣習があるのでしょうか・・・。それならば、売春婦がホテルに出入りできないような対策を先にとるべきなのではないでしょうか・・・。

(谷口 恭)