HIV/AIDS関連情報

2006年10月14日(土) オーストラリア、HIVを含めた性感染症が急増

 このウェブサイトで何度も述べているように、日本のマスコミが言っている「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」というのはまったくの誤りで、韓国やシンガポールといった他のアジアの先進国でも新規感染の増加は問題視されています。そして、アジア(太平洋)諸国で、もうひとつ忘れてはならない先進国があります。それがオーストラリアです。

 10月12日にオーストラリアの2005年のHIV新規感染者数が発表され、同日のNEWS.COM.AUが報道しています。

 2005年に新たにHIV陽性と診断されたのは928人で、これは2004年からみると9.3%の増加、2000年の656人からみると、なんと41%も増加していることになります。地域別でみると、最も増加率が高いのがクイーンズランド州で48%、以下ヴィクトリア州40%、南オーストラリア州34%、ニューサウスウェールズ州20%、と続きます。

 他の性感染症もみてみましょう。

 淋病の昨年の感染者は8,015人で、これは10年前の2倍となります。梅毒は2,203人で、2001年は1,851人ですから4年間で19%の増加となります。

 クラミジアは、いまやオーストラリアで最も頻度の高い性感染症で、昨年は41,300人が罹患しています。2004年からは14%の上昇で、10年間でおよそ4倍にもなっています。男性にも女性にも、そしてあらゆる年齢層で増加しているのが特徴です。

 淋病、梅毒、HIVは主にゲイの間で蔓延していますが、異性愛者の間にも少なくないようです。あるエイズの研究施設のスタッフは、「HIVの治療薬が進歩したせいで、性行動における予防意識が減少しているかもしれない・・・」、と述べています。

 オーストラリア政府は、昨年1年間で、1,250万オーストラリアドル(約11億2,500万円)をかけて予防・調査などおこないました。しかし、このまま感染者が増加し続けると、いずれ5億オーストラリアドル(約450億円)の薬剤費が必要になるであろうとみられているようです。

(谷口 恭)