HIV/AIDS関連情報

2006年10月10日(火) 忘れられたエイズ感染農業者たち

 10月4日の国連人道問題調整部の発行するIRINニュースが、ジンバブエではHIVに感染している農業従事者がひどい状態にあることをとりあげています。

 ジンバブエ商業農業者同盟(Zimbabwe Commercial Farmers' Union)の会長であるWilson Nyabonda氏は、これ以上農場のエイズの蔓延を無視できない意を述べ、国家のエイズプログラムの立ち上げを要求しています。

 農業に従事するHIV感染者の39歳のある男性は、働くことが出来ず、同じくHIV感染者である妻に生計を頼っています。もしも彼が死ぬようなことがあっても、農場のオーナーはまともな葬式をおこないません。出席できる彼の同僚はほんのわずかで、残りの大半は彼の葬儀に行くこともできず農作業を続けなければなりません。

 ジンバブエでは、2001年より新しい土地分配プログラムが施行され、あらたに定められたオーナーが土地を支配するようになり、農業従事者の生活や福祉が悪化しているのです。

 ほとんどのHIV感染者がARV(抗HIV薬)支給のウエィティング・リストに載せられてはいるのですが、実際に支給されることはほとんどなく、いずれ希望を失うことになります。

 「問題はHIV感染者がARV投与を受けられないということのみならず、滋養のある食べ物を食べられないことにある。一日一食だけの患者もいる」、とジンバブエの農業プランテーション労働者同盟(General Agriculture and Plantations Workers' Union of Zimbabwe)はHIV感染者の生活状態の悪化を嘆いています。

 さらに、「望まれない妊娠や性病のケースもたくさんあって、コンドームを使用していない者も少なくない。多くの者が麻薬やアルコールに依存している」、と同同盟の代表者は語ります。

 同同盟はジンバブエ・ビジネス・エイズ協議会(Zimbabwe Business Council on AIDS)と協力して、農場におけるエイズに関する調査を行っていく方針です。

(大和 さちよ)