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2006年10月1日(日) どうなる?! 30バーツ医療の行方

 9月28日のバンコク週報によりますと、9月27日、タイの市民団体らが「30バーツ医療」の存続を求めて、民主改革評議会(CDR)へ嘆願したそうです。

 30バーツ医療についてはこのウェブサイトでも度々取り上げていますが、ここでも簡単にまとめておくと、「無保険であっても一回の診療費が30バーツ(約90円)のみで病院にかかれる制度」のことです。

 きちんとした統計は見たことがありませんが、現地の医療関係者は、「タイで医療保険に入っているのは国民の1割から2割程度しかいない」と言います。このため以前は、病院へのアクセスが非常に悪く、病気や怪我をしても大部分の国民は簡単には診療を受けられませんでした。

 そこに登場したのが、「30バーツ医療」でした。この政策は2001年に政権をとったタイ愛国党(TRT、タイ・ラック・タイ)が始めたもので、これにより北部や東北部(イサーン)の貧困層も医療機関にアクセスできるようになり、これがこれらの地域でTRTの支持率が高い理由のひとつです。

 9月18日におこったクーデターによりTRTの党首タクシン首相は失脚し、一部の報道ではクーデター支持率が8割を超えていると報じていますが、北部と東北部では必ずしもタクシン首相の失脚を歓迎しているわけではありません。実際、27日には北部カンペンペット県の3地区で、反クーデター派(親タクシン派)による学校5校が放火される事件が起こりました。

 今後30バーツ医療がどうなるかに注目していきたいと思いますが、タイの医師団体はすでに民主改革評議会にこの医療システムを見直すように要求しています。

(谷口 恭)