HIV/AIDS関連情報

2006年7月31日(月) インドでゲイの合法化認められず

 7月20日のBBC NEWS(website版)によりますと、インド最高裁は、ゲイの合法化の要求訴訟事案を、デリー高等裁判所に差し戻したそうです。

 ゲイの合法化を求める声があるのは、これを禁止している法律があるからです。その法律は、1861年に当時の英国によって制定されたもので、同性愛行為で起訴された場合、最高で懲役10年間の刑が科せられることになっています。

 UNAIDS(国連合同エイズ計画)が5月に公表した報告書によりますと、現在インドのHIV感染者は570万人で世界一位です。そして、インドの国民エイズ管理機構(NACO)によりますと、インドでは国民全体のHIV感染率が1%以下なのに対し、ゲイでは8%以上が陽性です。

 NACOは、インドではゲイが違法とされ、社会から疎外されており、公共の場にアクセスすることも困難な状況にあり、そのためコンドームや正しい知識の入手ができないことを指摘しています。これが、ゲイをvulnerable(脆弱)な状況に追い込むこととなり、その結果HIV感染が上昇していることを主張しています。

 それにしても、なぜゲイであることが社会から疎外される対象になるのでしょうか。

 私個人としては、ゲイと言えば、ジュリア・ロバーツ主演の映画「ベスト・フレンズ・ウエディング」に登場していたルパート・エベレット(彼は実生活でもゲイです)や、タイの国民的スーパースターであるBIRD(タクシン首相も彼の大ファンです)を思い出すために、ゲイに対しては少なくとも悪い印象はまったくなく、法律で禁じる理由が理解できません。

 一度ロンドンで、ゲイの集まるカフェに知らずに入ってしまったことがあるのですが、その場にいる私以外の全員がゲイであるということよりもむしろ、私以外の全員が非常にかっこよくてセンスがいいことに驚きました。

 その英国が、インドのゲイを禁止する法律を作ったということにアイロニーを感じずにはいられません。

(谷口 恭)