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2006年7月29日(土) 大阪ミナミでMDMA密売人が逮捕

 7月28日付けの時事通信の記事によりますと、近畿厚生局麻薬取締部は、麻薬取締法違反の容疑で、MDMAを密売したとされる大阪市在住の20代のふたりを逮捕しました。ふたりは大阪ミナミにあるクラブなどで、若者らにMDMAを売りさばいていたそうです。

 MDMAは別名「エクスタシー」とも呼ばれており、ここ十年ほどのあいだに押収量、逮捕者とも急増しています。MDMAは、3,4-メチレン・ジオキシ・メタンフェタミンという化学物質の略語であり、メタンフェタミンの類似物質です。効果はメタンフェタミン(覚醒剤)とは若干異なり、覚醒作用に加え恍惚感が伴うと言われています。これは、性行為の際に顕著になるとされており、MDMAが「エクスタシー(Ecstasy)」と呼ばれる所以です。取り締まる法律は、覚醒剤取締法ではなく麻薬取締法です。

 MDMAは覚醒剤と同様、中毒症状を起こし死に至ることもあります。さらに、その耐性が問題になります。現在日本で流通しているMDMAは、ほとんどが錠剤(もしくはカプセル)ですが、坐薬や注射もあります。また、吸入(アブリ)で使用している人もいます。

 MDMAは一時アメリカで社会問題となりましたが、最近はDEA(米国司法省麻薬取締局)が徹底的な対策を取ったことから、使用量が減少しつつあると言われています。

 ところが、日本では歯止めが利かないほど流通量が増えています。

 MDMAにしても覚醒剤にしても、現在の日本は世界でもっとも入手しやすい国のひとつだと言われています。一昔前まで「ドラッグ天国」と言われていたタイが、政府が徹底的な対策をとったことによりその汚名を返上したのとは対照的に、日本は着実にジャンキーが集う国になってきているのです。「日本に戻るとシャブに手を出してしまう」、という理由で海外から帰って来られない日本人もいるそうです。

 別のところにも書きましたが、違法薬物に対しては徹底的に罪を重くするべきだと、私は考えています。

 先日、朝鮮半島出身の男性が、1.6キロのコカインを(おそらくコンドームに入れて)飲み込んでいたことが分かり、ナイジェリアの空港で逮捕されたという事件が報道されましたが、ナイジェリアは違法薬物に対する規制が比較的緩いそうです。

 この逆に、麻薬を所持しているだけで死刑となるような国には、違法薬物は流れにくくなっています。

 違法薬物が、規制の緩い地域に流れていくのは自然の摂理のようなものです。日本から、そして世界中から違法薬物を撤廃するのに最も効果的なのは、罪を重くすることなのです。

(谷口 恭)