HIV/AIDS関連情報

2006年6月27日(火) 仏男性が腸の中にヘロイン

 バンコク週報2006年6月26日号によりますと、サムイ島のラマイビーチでオープンバーを経営するフランス人の男性(53歳)が、消化管にヘロインを隠しもっていることが病院で明らかになったそうです。

 腹部に激痛をうったえたその男性が病院を受診したため、レントゲンでお腹を撮影したところ、消化管内部にヘロインがあることが確認されたようです。

 その男性は、スイスから戻ってきたばかりであることから、警察は薬物密輸の容疑で捜査を進めているとのことです。

 以前は、タイで流通しているヘロイン(麻薬)は、タイ北部のゴールデントライアングル由来であると言われていました。北部の、主に高地民族が生活のために麻薬を製造していたのです。この地域の麻薬は良質で安価なため、ヘロイン目的でタイに渡航する人も大勢いました。さらに、高地民族のなかにも製造・販売だけでなく、自らが麻薬に手を出してしまう者が大勢いました。(詳しくは、『熱帯に生きる』谷口巳三郎著参照)

 その後、タイ政府が徹底的な麻薬撲滅政策をとったために、現在ではゴールデントライアングルでの麻薬製造はほとんどなくなり、タイで麻薬を入手するのはむつかしいと言われています。

 しかし、このフランス人のように海外からの仕入れがおこなわれるようになれば、タイが麻薬王国に逆戻りしてしまう可能性があります。

 ヘロインは、覚醒剤などに比べても容易に耐性ができやすいために、最初はアブリで満足できていても、そのうちに静脈注射に移行することになります。そして、危険性は分かっていても、そのうちに注射の「回し打ち」をするようになり、HIVを含めた感染症に罹患するのです。

 ちなみに、もしもこの男性が腹痛を我慢し、ヘロインを入れていた袋が破れれば数時間のうちに死亡した可能性が強いと思われます。

 ときどき、大麻を入れたコンドームを飲みこんだ密売人が、機内でコンドームが破れたために、大量の大麻が体内に吸収され立てなくなることから、密輸が発覚し逮捕という事件が日本でも報道されていますが、大麻だからいいものの、覚醒剤や麻薬でこれをやると命を失うことになります。

(谷口 恭)